「運動したほうがいい」と言われて不安な人へ|痛みがある場合の正しい考え方

痛みがある状態で運動を勧められ、不安を感じている様子を表したイラスト

「病院や周囲から『運動したほうがいい』と言われたけれど、
動かすことで悪化しそうで不安になる」

このような気持ちを抱える人は、決して少なくありません。

痛みがある状態で運動を勧められると、
「本当に動いて大丈夫なのか」
「また痛くなったらどうしよう」
と迷うのは自然な反応です。

実際、運動は多くの慢性疼痛に対して有効とされていますが、
すべての痛みに対して、同じ考え方が当てはまるわけではありません。


「運動したほうがいい」は間違いではないが、前提がある

「運動したほうがいい」という考え方には、状態や前提条件があることを示すイラスト

慢性腰痛や運動器疼痛に対して、
過度な安静よりも、段階的な運動を行う方が望ましい
という点は、複数の診療ガイドラインで共通しています【文献①】。

ただし、この「運動したほうがいい」という言葉には、
以下の前提が含まれています。

  • 重篤な疾患や急性炎症が除外されている
  • 痛みの性質や段階が評価されている
  • 運動の内容・強度が調整されている

これらが整理されていない状態では、
同じ「運動」という言葉でも意味合いは大きく変わります。


痛みがある状態=動かしてはいけない、ではない

痛みがある状態でも、動かし方やタイミングによって対応が異なることを示すイラスト

痛みがあると、
「動かすと悪化するのではないか」と感じるのは自然です。

一方で、
慢性疼痛の分野では、
完全な安静が痛みの長期化につながる可能性 も指摘されています【文献②】。

ただし、ここで重要なのは、
「動く=何をしてもよい」ではない という点です。

炎症が強い時期、
神経症状を伴う場合、
過敏性が高まっているケースでは、
運動の種類や負荷を誤ることで症状が悪化することがあります。

大切なのは、
「動くか・動かないか」ではなく、
「今の状態で、どのように動くか」 です。


不安を感じる人ほど「評価」が抜け落ちていることが多い

痛みや運動に関する情報が整理されておらず、不安を感じている様子を示すイラスト

「運動したほうがいいと言われて不安になる人」に共通するのが、
自分の状態が十分に整理されないまま話が進んでいるケース です。

  • どの動きで痛みが出るのか
  • 動かすと楽になるのか、悪化するのか
  • 痛みは局所的か、広がるか
  • しびれや感覚異常はないか

これらが整理されていないと、
「運動」という言葉だけが一人歩きしてしまいます。

運動療法の効果は、
事前の評価と個別性の考慮によって大きく左右される
ことが、運動科学の分野でも示されています【文献③】。


運動で悪化してしまうケースがあるのも事実

状態に合わない動かし方によって、違和感や不調が出てしまう可能性を示すイラスト

実際に、
「運動を始めたことで、かえって痛みが強くなった」
という経験を持つ人もいます。

これは、

  • 今の状態に合わない負荷設定
  • 安定性が不足したままの動作
  • 痛みの性質を考慮しない介入

といった要因が重なって起こることが少なくありません。

姿勢や身体の使い方が影響している場合には、
運動そのものよりも、
導入の順番や内容の選択 が重要になります。

この点については、
運動によって症状が悪化してしまう背景を整理した記事でも触れています。

▶︎ ピラティスで腰痛が悪化する人の特徴|始める前に必ず知っておきたい注意点

腰痛に悩んでいるピラティスを検討中の人のイメージ

「動かす前に考えること」が不安を減らす

運動を始める前に、自分の状態や不安を整理して考えている様子を示すイラスト

痛みがある中で運動を検討する際には、
次の視点が役立ちます。

  • 動かすと症状はどう変化するか
  • 痛みが出やすい動き・出にくい動きは何か
  • 今は回復を促す段階か、調整が必要な段階か

これらを整理せずに
「とりあえず動く」
「言われたから運動する」
という形になると、不安が強くなりやすくなります。

疼痛教育や運動療法の分野では、
理解と納得を伴った介入が重要 とされています【文献②】。


それでも運動が前向きに作用しやすくなる人の共通点

専門家と相談しながら、自分の状態に合った運動を進めている様子を示すイラスト

不安を感じながらも、
結果的に運動がプラスに働きやすい人には共通点があります。

  • 痛みや動作の状態を評価してもらっている
  • 無理に頑張らず、段階的に進めている
  • 「痛みを消すこと」だけを目的にしていない

運動は、
正しく使えば回復を助ける手段 になりますが、
使い方を誤ると不安や不調を強めることもあります【文献④】。


不安がある状態で大切にしてほしい考え方

運動に対する不安が整理され、落ち着いて向き合えている様子を示すイラスト

「運動したほうがいい」と言われて不安になるのは、
身体の変化に注意を向けられている証拠でもあります。

それは、決して悪いことではありません。

大切なのは、
運動を始める前に
自分の状態を整理し、納得したうえで進めること です。


痛みがある中での運動は、
「やる・やらない」の二択ではありません。

今の状態に合った形で進めることで、
不安を減らしながら取り組むことも可能です。

運動を始める前に、
一度立ち止まって考えるという選択肢があることを、
ぜひ知っておいてください。

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ここまで読んで、
「自分の場合は運動していいのか迷う」
そう感じた方は、こちらで一度整理できます。

▶ 運動していいか迷う人のための「身体の判断ガイド」

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  1. Qaseem A, et al.
    Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain.
    Ann Intern Med. 2017.
    →「慢性腰痛に対して、安静よりも運動を含む非侵襲的介入が推奨される」
  2. Nijs J, et al.
    Treatment of central sensitization in patients with chronic pain.
    Clin Rheumatol. 2014.
    →「疼痛教育・理解と運動介入の重要性」
  3. Behm DG, et al.
    The role of instability with resistance training.
    J Strength Cond Res. 2010.
    →「評価や安定性を考慮しない運動介入の限界」
  4. Hayden JA, et al.
    Exercise therapy for chronic low back pain.
    Ann Intern Med. 2005.
    →「個別性を考慮した運動療法の有効性」

この記事を書いた人

紙谷 航平

理学療法士・ピラティスインストラクター。からだ機能改善サロンwith代表。13年以上の臨床経験を活かし、姿勢や動作を評価し、一人ひとりに合わせたパーソナルマシンピラティスを提供しています。