― ほぐす前に「支える順番」を整理する ―
首の後ろが常に重い。
デスクワークのあと、ズーンと張る。
マッサージしても、すぐ戻る。
ピラティス後に、逆に後ろが張る。
そんな経験はありませんか?
「僧帽筋が硬いだけ」
そう思っていませんか?
しかし多くの場合、
問題は“筋肉そのもの”ではありません。
首の後ろが“支える役”になりすぎていることが、背景にあります。
この記事では、
・なぜ首の後ろが張るのか
・よくある誤解
・自分で確認できるポイント
・続けてよいサインと立ち止まるべきサイン
を整理します。
なぜ首の後ろが張るのか?
首の後ろが痛い原因は、単純な筋肉の硬さだけでなく、
- 姿勢
- 呼吸
- 胸椎の動き
- 肩甲帯の安定
と関係していることが少なくありません。
慢性頸部痛では、深層頸屈筋の機能低下や筋活動パターンの変化が報告されています(Falla et al.)。
また、頭部前方位と頸部痛の関連も示唆されています(Szeto et al.)。
つまり、
首そのものの問題というより、
“負担の分担バランス”の崩れが背景にあることが多いのです。
首の後ろが張る3つの代表的背景
① 僧帽筋上部の過活動

- 頭が前に出ている
- 胸椎が動きにくい
- 肩甲骨が安定しない
この状態では、僧帽筋上部が常に活動し続けます。
本来は胸郭や体幹が担うはずの役割を、
首が引き受けてしまっている状態です。
② 肩甲挙筋の過緊張

肩甲挙筋は、
- 頸椎横突起〜肩甲骨上角に付着
- 肩甲骨を引き上げる
- 頭部の回旋や側屈にも関与
デスクワーク姿勢では短縮しやすい筋です。
「肩甲骨の内側が痛い」
「首を回すと片側だけ張る」
このタイプは肩甲挙筋由来の可能性があります。
③ 後頭下筋群の過活動

- 頭と首の境目が重い
- 目の疲れとセットで出る
- 後頭部が締め付けられる感じ
後頭下筋群は、頭部の微調整を担う深部筋です。
視線固定やスマホ姿勢が続くと、
過活動になりやすくなります。
共通する本質
3つに共通するのは、
首が“支えすぎている”こと。
本来は、
- 胸椎
- 肩甲帯
- 呼吸
- 体幹
が分担するべき役割を、
首が引き受け続けています。
問題は筋肉単体ではなく、
“順番”と“分担”です。
なぜマッサージで一時的に良くなっても戻るのか?
首の後ろをほぐすと、
その場では軽くなることがあります。
血流が改善し、
緊張が一時的に下がるからです。
ですが、
- 頭部前方位が続いている
- 胸椎が動きにくい
- 呼吸が上に偏っている
- 体幹が不安定なまま
この状態が変わらなければ、
首は再び“支える役”に戻ります。
慢性頸部痛では、
筋力不足だけでなく運動制御の問題が関与すると報告されています(Falla et al.)。
つまり、
局所を緩めるだけでは、
支える順番は変わらない。
これが「戻る」理由です。
ここで1つだけ確認(セルフチェック)
※強い痛みやしびれがある場合は無理をしないでください。
※これは診断ではなく整理のための確認です。
胸椎チェック

- 椅子に浅く座る
- 両手を胸の前で組む
- ゆっくり背中を丸める
- ゆっくり背中を反らす
✔ 首だけが先に動く
✔ 背中の動きが小さい
✔ 反らすと首が詰まる
→ 胸椎の可動性不足が背景にある可能性があります。
呼吸チェック

- 仰向けになる
- 片手を胸、片手をみぞおちに置く
- ゆっくり吸う
✔ 胸だけが大きく動く
✔ 鎖骨が上がる
✔ 首が緊張する
→ 呼吸補助筋優位の可能性があります。
よくある誤解
× 強く揉めばよい
× 僧帽筋を鍛えればよい
× ストレッチだけで解決する
局所だけを変えても、
支える順番が変わらなければ戻ります。
続けてよい人/一度整理した方がよい人

判断の軸は「運動後の変化の方向」です。
続けてよい可能性が高いサイン
・終わったあと軽くなる
・呼吸が入りやすくなる
・翌日に残っても回復が早い
一度整理した方がよいサイン
・回を重ねるほど張りが強まる
・違和感に怖さがある
・一貫して悪化する
迷う場合はこちらで整理できます。
首問題の全体像はこちら

首の後ろだけでなく、
「前タイプ」「呼吸タイプ」「ロールアップタイプ」など、
首に力が入る背景はタイプごとに異なります。
全体像を整理したい方はこちら。
参考文献
Falla D, et al. Muscle dysfunction in cervical spine pain.
Szeto GPY, et al. Head posture and neck pain.

