痛みがあってもピラティスは受けていい?|理学療法士が考える「始めどき」の判断基準

「腰や肩に痛みがあるけれど、ピラティスを始めても大丈夫でしょうか?」

初回体験やお問い合わせで、非常によくいただく質問のひとつです。
運動は身体に良いと分かっていても、

  • 悪化しないか不安
  • 動かしていい痛みなのか分からない

と感じるのは、とても自然なことだと思います。

この記事では、理学療法士の視点と科学的知見をもとに、
**「痛みがある状態でピラティスを始めてもよいケース・注意が必要なケース」**を整理していきます。

結論|痛みがあっても「条件次第」でピラティスは可

最初に結論からお伝えすると、

「痛みがある=ピラティスをしてはいけない」ではありません。

重要なのは、
痛みの“有無”ではなく、“状態と原因が整理されているか”
という点です。

痛み=動かしてはいけない、は正しいのか?

多くの方が、

  • 痛みがある
  • 動かすと悪化しそう
  • だから安静にすべき

と考えがちですが、これは必ずしも正解ではありません。

近年の研究では、
慢性的な腰痛や肩の痛みは、構造的な異常だけでは説明できないことが多い
と報告されています。

実際に、

  • 画像検査で異常があっても痛みがない人
  • 画像上問題がなくても痛みを感じる人

は、決して珍しくありません。

科学的に分かっていること(研究より)

PubMedに掲載されている研究では、以下のような知見が示されています。

  • 慢性腰痛に対して、適切に設計された運動療法は痛みと機能を改善する
  • 「安静」よりも、「評価されたうえでの段階的な運動」の方が予後が良いケースが多い

つまり、

「何となく動く」のはNG
「評価されたうえで動く」のはOK

という考え方です。

ピラティスが「痛みがある人」に向いている理由

ピラティスには、次のような特徴があります。

  • 動きを細かくコントロールする
  • 代償動作を減らす
  • 呼吸と姿勢を整える

そのため、

  • 可動域が制限されている
  • 特定の動きで痛みが出る
  • 左右差が大きい

といった状態でも、負荷と動きを調整しやすいという利点があります。

特にマシンピラティスは、

  • 動かしすぎない
  • 支えながら動く

ことが可能なため、痛みがある方ほど相性が良い場合もあります。

注意が必要なケース

すべての痛みに対して、すぐにピラティスが適しているわけではありません。
以下のような場合は、慎重な判断が必要です。

  • 安静時にも強い痛みがある
  • 夜間痛が強く、徐々に悪化している
  • しびれや筋力低下が急に出てきた
  • 医師から運動制限が出ている

このような場合は、
「今は運動のタイミングではない」
という判断になることもあります。

重要なのは「始める前の評価」

痛みがある状態でピラティスを始めるかどうかを判断するうえで、
最も大切なのは 評価(見立て) です。

  • どこが動いていないのか
  • どこで代償が起きているのか
  • どの動きが痛みを引き起こしているのか

これらを整理せずに、

「とりあえず動いてみましょう」

となってしまうと、
変化が出にくかったり、不安が強くなったりします。

withが「評価から始める」理由

からだ機能改善サロンwith(津田沼)では、

  • 姿勢・動作の評価
  • 痛みの出方・生活背景の確認
  • 今できること/避けるべきことの整理

を行ったうえで、
**あなたにとって「安全で意味のある動き」**からピラティスを行います。

そのため、

「1回で身体の変化を感じ、
10回で痛み・ゆがみ・姿勢が変わる」

という変化が、
**偶然ではなく“理由のある結果”**として起こります。

※変化のスピードには個人差があります。
評価結果をもとに、現実的な目安をお伝えします。

迷っている方へ

  • 痛みがあるけれど、運動を始めたい
  • 何をしていいか分からず止まっている
  • 自己流で悪化するのが怖い

そんな方ほど、
「動く・動かない」を一人で判断しなくて大丈夫です。

まずは
「今の身体の状態を知る」
ことから始めてみてください。

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参考文献

  • Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Ann Intern Med.
  • Qaseem A, et al. Noninvasive treatments for acute, subacute, and chronic low back pain. Ann Intern Med.
  • Searle A, et al. Exercise interventions for the treatment of chronic low back pain. Clin Rehabil.