【ピラティスを環境から考える】

今回は「ピラティスの特徴」について

ピラティスさんがスタジオを開いた当時の時代背景・周辺環境から紐解き、

考えていきたいと思います。

当時と現代の環境の違いを理解することで

より自身のからだが置かれている状況や

エクササイズの目的への理解が深まります!

是非参考にしてみてください!

ピラティスメソッドが生まれた時代背景を考える

ピラティスさんがピラティススタジオを構えて、本格的に教え始めたのが

20世紀前半のアメリカでした。

当時、アメリカではダンスやバレエが人気を博し、スタジオを構えた同じビルにはダンススタジオがあったそうです。

つまり、スタジオに来ていたのも、最初はバレエダンサーが中心だったといいます。

つまりピラティスさんは、これらの課題解決をする機会が多かったわけです

必然的に、プログラムもバレエダンサー向けに寄っていきます

ということは。

バレエダンサーには、どのような動きが多く、障害が多かったかを考えると

ピラティスエクササイズの傾向が見えてきますね。

ピラティスエクササイズの特徴はバレエダンサーに必要な筋肉や動きである

筋骨格系障害について、

ハムストリングスの肉離れ(51%)、足関節の腱障害(19%)、腰痛(14%)が多くを占めた。

Prevalence and profile of musculoskeletal injuries in ballet dancers: A systematic review and meta-analysis 2016

11~20歳までのバレエ養成校に通う452名の生徒を5年間追跡調査した結果、足首の障害の報告が最も多かった。(16-33%)

Injury epidemiology in pre-professional ballet dancers: A 5-year prospective cohort study 2022

15~19歳のバレエ養成校に通う学生266名を1年間追跡調査した結果、一人当たり1.42件の怪我の報告があり、足首の報告が最多。外傷よりも酷使による損傷が一般的であった。

Injuries in pre-professional ballet dancers: Incidence, characteristics and consequences 2014 

この辺りの研究報告と時代背景・環境から紐解いていくと

ピラティスのエクササイズは

ダンサーのパフォーマンスアップ

バレエダンサーで多い怪我・障害であった

「腰痛」 ・ 「足関節障害」 ・ 「ハムストリングスの機能障害」の改善

に寄ったエクササイズが多いことが想像できますね。

また「腰痛」に関しては

バレエダンサーは腰を反る動きが非常に多いことから

反る動きをコントロールするための「腹筋」を強化するエクササイズに

秀でているということが言えます。

だから、「反り腰」とも相性がとてもいいんですね。

苦手分野は「筋肥大」。特に「下半身の筋力強化」と「背筋力強化」

つまり。

苦手分野というか、相対的にエクササイズの種類が少ないのが

「下半身」と「背筋」の機能向上のためのメニューということになります。

(下半身に関しては、立位下で重心を深く下げたフルスクワット系のエクササイズが特に少ないです)

また、ダンサーは瞬間的なパワーが求められるわけではないため

筋の「肥大」を目的とした場合、ウエイトトレーニングと比較するとピラティスの効果は劣ります。

この辺りは、必要に応じて適宜追加していく必要がありますね。

現代人は「背筋力」が相対的・絶対的に不足している

時代と周辺の環境が変わって。

今や椅子に座っていれば、「衣食住」とそれを支える「仕事」がすべて賄えてしまう時代になりました。

つまり現代は、「動かなくても稼いで生きていける」時代です。

科学の発展によって「利便性」が上がった分。

物事における「身体的な労力」は下がりました。


日常生活において、肩の屈曲と外転には、約 130° が必要

Shoulder and elbow range of motion for the performance of activities of daily living: A systematic review An International Journal of Physical Therapy Volume 34, 201

この報告では、日常生活において必要とされる肩関節の角度は130°であると報告されています。

これは裏を返せば

「130°以上はいらない」

ということになります。

本来動かせる可動範囲は180°であり、そのためには「背筋力」は欠かせません。

つまり

「背筋が必要とされる機会が消失している」

ということになります。

つまり

背筋の筋力が低下しやすい。

ということです。

ピラティス+αが必要な場合もある

ピラティスの得意不得意な側面を知り

「解決したい課題」や「目標」によって

ピラティスだけではなく、他のエクササイズも柔軟に取り入れていくこと。

トレーナーやインストラクターの方はもちろん。

普段からからだを動かしている方も。

これからピラティスを始めようかなと考えている方も。

自身のお悩みや目標との相性を加味しながら

からだを変えていくための考え方の一つとして

是非参考にしてみて下さい^^