力を抜こうとしても抜けない理由|肩こりと感覚・神経の視点から整理する

肩の力を抜こうとしても、うまく抜けないと感じている人の悩みを整理するイメージ

「力を抜いてください」と言われて、困ったことはありませんか?

肩こりがつらくて相談すると、
「肩の力を抜きましょう」
「リラックスしてください」
そう言われた経験がある方は少なくないと思います。

自分でも意識してみる。
深呼吸もしてみる。
それでも、

  • 抜けている感じがしない
  • 一瞬楽になっても、すぐ元に戻る
  • むしろ余計に疲れる

そんな感覚が残ることもあるのではないでしょうか。

まずお伝えしたいのは、
力が抜けないのは、努力不足や意識の問題ではない
ということです。


「力を抜く」という感覚は、簡単につくれるものではない

私たちは普段、
「力を入れる」「力を抜く」を
スイッチのように切り替えられるものだと考えがちです。

しかし実際には、
筋肉の緊張はオン・オフで切り替わるものではありません

筋活動は神経によって連続的に調整されており、
一気にゼロになることはほとんどありません【文献①】。

そのため、

  • 抜けている感覚が分からない
  • 本当に抜けているのか不安になる

と感じるのは、
神経の働きとしてごく自然な反応です。


肩こりと「力が抜けない感覚」の関係

無意識のうちに肩や首まわりに緊張が続いている状態を表したイメージ

肩こりがある方の多くは、
自分では強く力を入れているつもりはありません。

それでも、

  • 気づくと肩が重い
  • 無意識のうちに緊張している
  • 力を抜こうとしても変わらない

と感じることがあります。

これは、
強い緊張が入っているというより、
弱い緊張が長く続いている状態
として
起きているケースが多いためです。


なぜ、力を抜こうとすると余計に抜けなくなるのか

感覚は「意識すれば分かる」ものではない

身体の内側に意識を向けすぎることで緊張が高まる様子を示したイメージ

「今、肩の力は抜けているだろうか」
そう意識した瞬間、
注意は身体の内側に強く向きます。

研究では、
内部の感覚に過剰に注意を向けると、
動きや筋緊張がかえって不安定になることが示されています【文献②】。

つまり、

抜こうと意識するほど
抜けなくなる

という現象は、
感覚と神経の仕組みとして自然な反応です。


不安や警戒があると、身体は力を手放しにくい

不安や過去の痛みの経験によって身体が緊張を保とうとする反応を表したイメージ

過去の痛みやつらい経験、
「また悪くなるかもしれない」という予測があると、
身体は無意識に防御的な反応をとります。

この防御反応のひとつとして、
筋の緊張が残ることがあります【文献③】。

このときの緊張は、

  • 間違い
  • クセ
  • 悪い状態

ではなく、
身体なりに安全を保とうとする反応です。


「脱力できない」は、身体の選択かもしれない

身体が安全を保つために無意識に緊張を選択している可能性を示すイメージ

力が抜けない状態は、
必ずしも「修正すべき異常」ではありません。

姿勢や環境、不安の強さによっては、
身体が「今は緊張を保ったほうが安全だ」と
判断している可能性もあります。

特に肩や首まわりは、

  • 視線や頭部を支える
  • 姿勢の崩れを防ぐ

といった役割を担っているため、
緊張が残りやすい部位でもあります。


力を抜こうとする前に、整理しておきたい視点

どんな場面で抜けにくくなるか

仕事中や緊張する場面で肩の力が抜けにくくなる状況を表したイメージ
  • 仕事中
  • 緊張する場面
  • 疲れているとき
  • 不安が強いとき

こうした状況を振り返るだけでも、
「なぜ抜けにくいのか」を考えるヒントになります。


抜けない場所は、本当に「肩」なのか

肩だけでなく姿勢や全身のバランスが関係している可能性を示すイメージ

肩の緊張は、
肩だけの問題として起きているとは限りません。

  • 姿勢
  • 立ち方
  • 呼吸
  • 身体全体のバランス

そうした要素の中で、
結果として肩に緊張が集まっている場合もあります。


まとめ|力が抜けないのは、怠けているからではない

力が抜けない状態を責めずに整理し、身体の状態を理解しようとするイメージ

力が抜けないのは、

  • 意識が足りないから
  • 努力が足りないから

ではありません。

感覚や神経、
そして身体の防御反応として
起きている可能性があります。

無理に「抜こう」とする前に、
今の状態が、抜ける準備が整っているかどうか
を整理すること。

それが、
これからどう身体と向き合うかを選ぶための
大切な判断材料になります。

※「安定している」とはどういう状態なのかを、
姿勢・感覚・動きの視点から整理した記事はこちらです。

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【文献①】
Proske U, Gandevia SC.
The proprioceptive senses: their roles in signaling body shape, body position and movement.
Physiological Reviews. 2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23073629/

【文献②】
Wulf G.
Attentional focus and motor learning: A review of 15 years.
International Review of Sport and Exercise Psychology. 2013.
https://doi.org/10.1080/1750984X.2012.723728

【文献③】
Moseley GL.
I can’t find it! Distorted body image and tactile dysfunction in patients with chronic pain.
Pain. 2008.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18786763/