― 姿勢の問題かどうかを整理する ―
「反り腰ですね」と言われたことがある。
ネットやSNSで調べてみて、自分でもそうかもしれないと思っている。
けれど、
何をどうすればいいのかは分からず、不安だけが残っている。
反り腰という言葉は、とても分かりやすい一方で、
誤解を生みやすいラベルでもあります。
この記事は、
反り腰を「直す方法」を探すためのものではありません。
反り腰と呼ばれて迷っている状態を、一度整理するための記事です。
「反り腰」と呼ばれる状態は一つではない

反り腰という言葉は、
腰が反って見える姿勢をまとめて表現した呼び方です。
しかし研究では、
静的な姿勢の形そのものと、痛みや不調は必ずしも一致しないことが繰り返し報告されています【文献①】。
実際には、
- 見た目だけが反っているケース
- 動いているときに反りが強く出るケース
- 腰ではなく、股関節や胸郭の影響でそう見えるケース
など、中身はまったく異なることが多いのが実情です。
見た目が似ていても、
身体の使われ方や負担のかかり方は一致しません。
そのため、
「反り腰だから〇〇をする」
という考え方は、うまくいかないことが少なくありません。
姿勢を「直そう」とするほど、つらくなる人がいる理由

反り腰と聞くと、多くの人が
- 腰を丸めようとする
- 骨盤を無理に後ろへ倒そうとする
- お腹やお尻に力を入れ続けようとする
といった行動を取ります。
一時的に見た目は変わるかもしれませんが、
その結果として、
- 腰が張る
- 股関節が詰まる
- 呼吸がしづらくなる
といった違和感が出てくるケースも少なくありません。
これは、
姿勢の形を変えようとして、動きの制御が乱れている状態とも言えます。
近年では、
痛みや不調の多くが
「どの姿勢を取っているか」よりも、
どのように身体を動かし、制御しているか(モーターコントロール)
と関係していることが示されています【文献②】。
反り腰は「腰の問題」とは限らない

反り腰と呼ばれている状態でも、
実際に負担が集中しているのは、
- 股関節
- 胸郭(肋骨まわり)
- 下半身と体幹のつながり
といった部分であることも多く見られます。
腰椎の角度そのものよりも、
全身の協調した動きが崩れることで、結果的に腰が反って見える
というケースも少なくありません【文献③】。
この場合、
腰をどうにかしようとしても、
違和感はなかなか解消されません。
重要なのは、
どこが反っているかではなく、
どこで身体を支え、どこで動いているかという視点です。
「反り腰=悪い姿勢」と決めつけなくていい

反り腰という言葉が不安を生むのは、
「この姿勢はダメ」「直さなければならない」
という前提がセットになりやすいからです。
しかし研究上も、
特定の姿勢を「悪い姿勢」と一律に定義することは難しい
とされています【文献①】。
- 痛みがない
- 動くと楽になる
- 日常生活で困っていない
こうした状態であれば、
無理に姿勢を矯正する必要はありません。
一方で、
見た目はそれほど反っていなくても、
腰痛や股関節の違和感が続く人もいます。
つまり、
姿勢の見た目だけでは、判断はできないということです。
大切なのは「直すかどうか」ではなく「今どうか」

反り腰と呼ばれて不安なとき、
最初に考えるべきなのは、
- 本当に困っていることは何か
- どんな場面で違和感が出るのか
- 動いたあと、身体はどう変わるのか
といった、今の状態の整理です。
これは、
運動療法やリハビリテーションの分野でも
重要な判断基準とされています【文献②】。
反り腰を直すかどうかは、
その後に考えることで十分です。
反り腰で迷っている方へ

反り腰という言葉に振り回されていると感じる場合、
必要なのは方法探しではなく、
判断の前提を整えることです。
・このまま運動を続けていいのか
・少し立ち止まった方がいいのか
・どこを無理に変えようとしているのか
そうした判断が曖昧なままでは、
どんな運動を選んでも、不安は残ったままになってしまいます。
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ここまで読んで、
「自分の場合は運動していいのか迷う」
そう感じた方は、こちらで一度整理できます。
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まとめ
- 反り腰は、状態そのものではなく「呼び名」に近い
- 静的な姿勢だけでは、痛みや不調は判断できない
- 大切なのは、今の身体の使われ方を整理すること
反り腰という言葉に不安を感じているなら、
まずは「何を直すか」ではなく、
**「今の身体で何が起きているか」**から考えてみてください。
文献①
Briggs AM, et al.
Do common postural deviations lead to pain?
Manual Therapy. 2009.
文献②
Hodges PW, et al.
Pain and motor control: From the laboratory to rehabilitation.
Journal of Electromyography and Kinesiology. 2011.
文献③
Sahrmann SA.
Diagnosis and Treatment of Movement Impairment Syndromes.
Mosby. 2002.

