【慢性的な痛みに対するゴールドスタンダード】

こんにちは!からだ機能改善サロンwith代表の紙谷です。

今日は慢性的な痛みに対する

現時点で最も信頼性の高い方法であると考えられている方法

『慢性疼痛診療ガイドライン2021』から紐解いてお伝えしていきます。

その領域の専門家が集まり、様々な論文を査読して作られている『ガイドライン』は、

最も信頼性・妥当性に優れたものになります。

つまり、特定の疾患や症状に対しての治療手段を考える時、まず初めに参考にすべきものであり、

一般の方もその内容を知っておくことで、症状改善のため、自身に合ったサービスを

「受け身」ではなく「能動的」に選択・行動することができるようになります。

慢性疼痛に対しては、「運動」×「患者教育」×「認知行動療法」が最も効果的

認知行動療法(CBT),患者教育を組み合わせた運動療法は,単独介入と比べて

短期~長期的な鎮痛効果および機能障害改善効果,包括的なQOLの向上が認められた.

また,標準的リハビリテーションと比べると,慢性頚部痛,慢性疼痛全般において,

短期~長期的な鎮痛効果および機能障害の改善効果,包括的なQOLの向上が認められた

慢性疼痛診療ガイドライン2021

ガイドライン内では

「運動療法」・「患者教育」・「認知行動療法」を

別々に用いた場合の効果検証をしている研究報告も取り上げられています。

様々な文献を査読・吟味した結果

3つの「掛け合わせ」が最も効果的であると示されています。

「運動療法」の効果

有酸素運動や筋力増強運動のような一般的な運動療法は、

無治療群と比べて高い鎮痛効果と機能障害の改善が認められた。

Malfliet A, et al : Best evidence rehabilitation for chronic pain : Part 3 : Low back pain. J Clin Med 2019
Sterling M, et al : Best evidence rehabilitation for chronic pain : Part 4 : Neck pain. J Clin Med 2019
Rice D, et al : Best evidence rehabilitation for chronic pain : Part 5 : Osteoarthritis. J Clin Med 2019

モーターコントロールエクササイズ(MCE)は,

無治療や一般的な運動療法と比べて,慢性疼痛患者の痛みおよび機能障害の改善に有用である.

Saragiotto BT, et al : Motor control exercise for chronic non-specific low- back pain. Cochrane Database Syst Rev 2016

運動の効果については、たくさんの研究がされています。

特に慢性疼痛に対しては、信頼性の高い報告が散見されています。

モーターコントロールは直訳すると、「運動制御」

つまり、自身のからだを「どう動かしているか」を突きつめるエクササイズです。

もう少し具体化すると、「脊椎の安定性」「姿勢制御向上」を目的とした運動を指します。

withでメインサービスとして提供している「ピラティス」も、モーターコントロールエクササイズに該当します

「患者教育」の効果

痛みの神経生理学的な教育が、他の教育と比べ、機能障害の即時的な改善と破局化思考の中期的な改善効果あり

Geneen LJ, et al : Effects of education to facilitate knowledge about chronic pain for adults : A systematic review with meta‒analysis. 2015

患者教育はほかの治療に付加的に用いることで効果をもたらすもの

Yu H, et al : Does structured patient education improve the recovery and clinical outcomes of patients with neck pain? : A systematic review from the Ontario Protocol for Traffic Injury Management(OPTIMa) Collaboration 2016

急性期治療に教育を付加することで痛みを早期に軽減させ、慢性疼痛への移行予防につながることが期待されるが、1回のみの口頭でのアドバイスではセルフケアを含む理学療法の方が有効

Côté P, et al : Management of neck pain and associated disorders : A clinical practice guideline from the Ontario Protocol for Traffic Injury Management(OPTIMa)Collaboration 2016

教育ってちょっと包括的な意味合いが強いですが、

例えば、痛みの原因や回復までの期間など、見通しがわかると安心しますよね。

つまり

「自身のからだの状態に対する正しい知識をもつこと」

ということです。

前回の投稿でお伝えした痛みの負の連鎖からの脱却にも効果的な方法です。

「認知行動療法」の効果

18歳以上の慢性疼痛患者を対象。CBTの短期的効果として,痛みと機能障害には小さな効果,不快感情と破局的思考には中程度の効果が示された.一方,長期的効果としては,不快感情においてのみ小さな効果が認められた.

Williams ACC, et al : Psychological therapies for the management of chronic pain(excluding headache)in adults. Cochrane Database Syst Rev 2012

マインドフルネスに基づく心理的介入を行った結果、痛みの強さ,抑うつ,身体的側面QOL,精神的側面QOLの改善に対して有意に小さな効果が示された.機能障害については改善傾向がみられたものの,有意差はなかった.

Hilton L, et al : Mindfulness meditation for chronic pain : Systematic review and meta-analysis. Ann Behav Med 2017

認知行動療法とは、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種で

日常の様々な出来事と感情を見つめ直す作業を通して、症状を改善していこうとするものです。

ここでポイントなのが「機能障害」にも効果が認められていること。

認知行動療法は「運動」をするわけではありませんが、「身体機能」が改善するんですね。

「情動」が「身体機能」と密接に関わっている証拠です。

まとめ

「運動療法」×「教育」×「認知行動療法」をまとめると、慢性疼痛にお悩みの方は

自身が楽しめる運動を見つけて!(ピラティスはおすすめ!)

疑問に思ったことは相手に遠慮せずとにかく聞いて納得して!

日常のストレスできるだけなくしていこうね!

ということになります。

是非ひとつの参考にしてみてください^^